今回のアコースティック・ギターとピアノ/シンセなどの主にキーボード・プレイヤーが担当するパートのミキシングは第17回「ミックスがこもるの原因と解決法」で解説したことを踏まえた上で、ミキシング作業して行きます。
第17回で長々と解説しましたが、今回題材にしている楽曲のオケでメインとなっているのはエレキギターで、サポートパートに当たるアギタとピアノの処理を何もしないで、そのままの状態にしておくと最終的な2ミックスに悪影響を与えます。
エレキ・ギターとアコースティック・ギターの両方が入っている楽曲の場合は、どちらの楽器がオケでメインなのかによっても、ミキシング作業にはもちろん違いがあります。
今回のWEBマガ・ソングのオケのメインはエレキギターなので、そのことだけに絞りアコギのコンプ処理と最終的に2ミックスで音の輪郭がなくなる原因である音域をEQでカットする作業の解説をします。
尚、アコギがオケでメインの場合のトラック処理は、ここでは触れていませんが、要望が多ければ、このWEBマガが一通り完了した後に、メンバーのみ閲覧できるページのほうで公開しようと思います。
生ピアノをマイクでレコーディングするという方は、かなりの少数派で、ほとんどの方は打ち込みのピアノだと思いますが、必要以上にピアノの低音の出過ぎている場合は、ミックス時に意外と面倒であるということを、前もって知っておいたほうが良いと思います。
そのため、オケのメインがピアノパートの場合は別ですが、そうでない場合はピアノのパートはミキシング作業の以前のトラック制作の段階で、左手で弾く低音のベロシティーをMIDIエディットで調整しておきましょう。
また、今回のWEBマガ・ソングのアコースティック・ピアノはMOTUのプラグイン・サンプラーの『MachFive』のプリセット音を使用していて、モノラルではなくステレオで録音していることもあり「左右に振り切ったエレキギターをさらに広げる方法」で紹介した左上画像のWAVESの「S1 Stereo Imager」でピアノの広がりを調整した上でパンニングをしています。
今回はピアノ以外にシンセのパートは入れていませんが、2009年08月に質問メールを確認したときに、意外とギター中心のバンドをやっている方から、ピアノ以外のシンセに関する質問が多かったので、急遽、ピアノ以外のシンセのパートを加えました。
ただし、この記事を書いている時点で、WEBマガ・ソングのミックスとマスタリングは完全に終わっていて、新たにストリングスなどを加えると、他のパートにも少し手を加えなくてはならず、ミックスの方向性が変わってきてしまうので、「あってもさほど変わらないが、ないと寂しい」という感じのパッド系のループ音色を、この時点でのみ加えて解説しています。
確かに少し物足りないかもしれませんが、ミックスが特に難しくないベル系の音を加えて解説するよりは参考になるのではないかと思います。
ストリングスなどに関してのエフェクト処理は、このWEBマガが完了した後に、今回のWEBマガ・ソングと切り離した上で、メンバーのみ閲覧できるページのほうで公開して行く予定なので、そちらのほうを参照して下さい。
今回の教材にしている楽曲のアコースティック・ギターには『Virtual Guitarist』を使用しましたが、すでに生産完了品になってしまっています。生産完了品のソフトにコメントを書いても、あまり意味がないので、細かいコメントはしませんが、自由なトラック制作という観点からは、このソフトシンセはそれほど使い勝手の良い製品ではありません。もし、現時点でリアルなアコギのソフトシンセを探している方には、個人的には、MusicLabのベストセラーのアコースティック・ギター専門のソフトシンセ『REAL GUITAR 2L』を…
このWEBマガジンを公開してから1年が立ちましたが、今回でステップ3「各パートのミキシング作業」は終了です。管理人であるわたしが言うのも何ですが、かなり役に立つ情報を提供してきたと思います。
それはさておき次回からはステップ4です。書籍で言うなら最終章になります。その最終章にあたるステップ4では、2ミックス・ファイルとマスタリング作業に焦点を絞り解説します。