基本的なモニター環境を整えたりといった、ミックスダウンとマスタリング作業の準備については音楽制作講座のほうで紹介しているので、実践編にあたる、このWEBマガジンでは説明を省かせてもらいます。
基礎について知りたい方は、ミックダウンの準備については「ミックスダウンの準備講座」で解説しています。また、マスタリング作業の準備については「マスタリングの準備講座」と「マスタリング作業の必需品」で説明していますので、そちらのほうを参照して下さい。
今回の講座のために制作した楽曲のトラック構成はドラム、ベース、左チャンネルのエレキギター、右チャンネルのエレキギター、アコースティックギター、ピアノ、ボーカル、コーラスです。
また、使用した「DTM/DAWソフト」、「ソフトシンセ/ソフトウェア音源」、「プラグイン・エフェクター」、「モニター・ヘッドフォン/スピーカー」などのツールに関しては、サイドバーの「使用したDAWツール」のほうで、詳しく説明していますので、そちらを参照して下さい。
ミックスダウンとマスタリング作業のリファレンス曲はSheryl Crow(シェリル・クロウ)の2005年のアルバム『Wildflower』に収録されている「Good Is Good」です。
この「Good Is Good」は、グラミー賞の「Best Female Pop Vocal Performance」にノミネートされていて、ミックスは、Bob Clearmountain(ボブ・クリアマウンテン)が手掛けています。
作業を始める前に、打ち込みで作成したMIDIデータなどは、パソコンへの負担を軽減するためにすべてオーディオデータに変換しました。この段階では、コンプレッサーやイコライザーは使用していませんが、以下の作業をしています。
ボーカルのフレーズ終わりのピッチの微妙なズレが気になったので、業界標準のピッチ補正ソフトANTARESの『Auto-Tune』を使用して、簡単にピッチを修正しました。
『Auto-Tune』には「オートマティックモード」と「グラフィカルモード」がありますが、「グラフィカルモード」のほうでピッチの修正をしています。(基本的にわたしはオートマティックモードは、ほとんど使いません。)
メインボーカルをピッチシフトさせたものに、『Auto-Tune』の「グラフィカルモード」を使用してハーモニーを生成しています。今回の制作用MACはサブ機のため、良いハーモニー生成ソフトがなかったため、このようの面倒な方法で、ハーモニーを生成しましたが、コーラスのアレンジなどに便利なハーモニー生成ソフトや、CELEMONYの『MELODYNE』のようなピッチ補正ソフトを使用したほうが、短時間でハーモニーを生成することができます。
ANTARES『Auto-Tune』や、CELEMONYの『MELODYNE』などのピッチ補正ソフトは、「ボーカルのピッチ補正エフェクター」で紹介していますので、そちらを参照して下さい。
右チャンネルの打ち込みのエレキギターのソフトシンセは、クリーンなサウンドのため、歪みが欲しかったので、IK Multimediaの定番アンプシミュレーター『AmpliTube』を使用して歪ませました。
後で歪み具合など、エレキギターは細かくサウンドメイクするので、この段階ではかなりラフに音を作っています。尚、ギター用のアンプシミュレーターを探している方は「オススメのアンプシミュレーター」を参照して下さい。
次の第3回「ミックスダウン & マスタリングのガイド」の「まずは超ラフミックスを作る」では、早速、ヘッドフォンのみを使用して、ラフミックスを作って行きます。基本的にはバランスを取ることがメインとなりますが、超ラフミックスをつくる段階でのボーカルや生楽器に掛けるコンプレッサーについても解説します。