一般的なアマチュアのロックバンドの楽曲の場合は、前回の第16回までの「ボーカル」「エレキギター」「ベース」「ドラム」の4〜5人のメンバー構成が多いと思いますが、「一つ一つのパートが聴こえるミックス」という観点だけで見ると、この程度のパート数であれば、ボーカルを中心にミックスダウンして行けば、それほど作業で苦戦することはないと思います。
しかし、パソコンベースでの音楽制作の場合は、簡単にトラック数を増やすことができ、音に厚みや、楽曲にメジャー感を出すことができますので、その利点を活かしてDAWベースで音楽制作をしている向上心のある多くのバンドが更にトラック数を増やしているのではないでしょうか。
そこで、問題が起き始めます。音数が多くなれば多くなるほど、各パートに輪郭や立体感が明らかになくなり、ミックスがモワモワしてこもる第8回「音の質感の違いを書き出す」で書いたような状態になってしまいます。
そして、いろいろと試行錯誤しているうちに「ミックスは奥が深い」ということに気付くことになります。
上記したトラック数を増やすと2ミックスがこもる状態を解決するには、まずは、その原因を突き止める必要があります。
なかには、「パート数を減らしてミックスすれば良いのでは?」と考える方も居ると思いますが、確かにそれは正論で「パート数の多さ=楽曲の良さ」ではないのは事実です。
しかし、向上心のある方にとって、それは発展的な考えではないのと同時に、しっかりと多くのパートをミックスできる方が、作品を俯瞰した上で不要であるからパート数を減らすのと、ミックスする技術がなくて、あきらめてパート数を減らすのとでは、まったく意味合いが違います。
また、このサイトに来ている方は、「パート数を減らせばミックスが楽になる」ということには、すでに気付いている方が多く、その上で「音数を増やしてのミックスがしたい」と考えているので、このWEBマガジンでは「パート数を減らしてミックスすれば良いのでは?」というような無意味なことに関しては記述するつもりはありません。
以上を踏まえた上で、次の項目「2ミックスのこもりの原因とその解決方法」では、「PAZ Analyzer」の解析結果を元に2ミックスがこもるの原因を追求して、その解決法を記載して行きます。